Living Research

生活環境を純粋にするテクノロジー

with Robert Noble (ノーブル・エンバイロメンタル・テクノロジーCEO)

profile

Robert Noble (ノーブル・エンバイロメンタル・テクノロジーCEO)

サンディエゴ アメリカ

Noble Environmental Technologies(ノーブル・エンバイロメンタル・テクノロジー)の創設者でありCEO。建築家、環境デザイナー、工業デザイナー、環境技術アントレプレナーなど多くの肩書きを持ち、環境保全のための取り組みが評価され、米国肺協会のクリーンエアー賞、エジソンアワードなど多くの受賞歴を持つ。

Robert Noble (ノーブル・エンバイロメンタル・テクノロジーCEO)

"新しい技術は私たちの生活にどんな影響を与えるでしょう?そこには変わらない住宅風景と、環境に配慮された製造工程、素材の変化がある。"

- 技術の進歩により未来はどう変化すると思いますか?

ロバート・ノーブル(ロバート) : 私の意見としては、たいてい無視されがちなことがとても基本的で大事なことであるということです。あなたは食品の化学物質について言及することもできますが、同様にあなたは有機種子を庭に植え野菜を育て食べることもできます。進歩した技術も人工知能も重要ですが、最も重要なことは自然との関係性を持つことだと思います。人々に愛される都市というのは、しばしば緑が多く澄んだ空気に綺麗な水があり家族と過ごせる場所、そして安全に仕事のできる環境です。私はとても純粋な未来を望んでいて、それは私たちに関係する全てにおける純粋さであり、特に空気など私たちの生活に影響を及ぼすもの、エネルギー循環の純粋さでもあります。今の世代は様々な方法でより自然に近しい未来を描くことができるでしょう。

スマートフォンは信じられないくらいすばらしいもので、スマートフォンを忘れたときのあの感情が、分かるでしょう?それは人々が欲しがり愛する構成要素の集合体ともいえ、それが世界で一番大きな会社で大きな市場となりました。しかしあなたは見えますか?私のまわりにある全てを。テーブル、棚、天井、壁、扉、、、建築業界はIT業界よりも私たちの生活に密接に関わっています。ITが、あなたを取り巻くもの、子供達が安全に呼吸をし眠れることよりも重要だと思いますか?新しい技術は私たちの生活にどんな影響を与えるでしょう?そこには変わらない住宅風景と、環境に配慮された製造工程、素材の変化がある。それが私たちなのです。私たちは家具、壁、建物、人々がつくる全てを環境に優しい解決策へと導くのです。未来の都市は資源の利用、特に化石燃料に関して想像以上に効率的なものとなるでしょう。ネット・ゼロ都市(正味ゼロ都市)は可能だと思っています。

 あなたの問題意識とモチベーションはなんですか?

ロバート:私の大きな根底にあるモチベーションは、災害救助のための住居、難民のための住宅環境のためです。極貧の人々がいる中で、わずか60人程が米国の半分の富を支配しているという格差が世界中で起きているということをとても残念に思いますし、それは狂気的です。彼らには何が必要でしょう?食事、ヘルスケア、そして寒さ、風、雨、雪などの外部環境からの保護です。十分な富と才能があっても実行されないことが世の中にはあります。

建築資材をクリーンにすることはホルムアルデヒドやイソシアネートなどの屋内の品質問題を考慮したとき非常に重要となる要素ですが、私の主要なモチベーションは、緊急住宅、難民シェルター、低コスト住宅を必要とする人のために、軽くて工学的で高純度のデザイン適応性のある安価な素材技術を求めたところから始まりました。

それが私の大きな長期的ビジョンであり、パーソナルで私を幸せにする夢です。小さな努力でも誰かの人生を豊かにすることは可能です。エコールは2004年に創立され、私たちの環境に対する責任を持ったテクノロジーと素材の発展型といえる、農業廃棄物や工業廃棄物など何千もの異なる資源からセルロースを抽出することで作り出し、有害物質を一切含まず100%再生資源から作られ、リサイクル可能であり土に還すことのできる地球上で最も安全な素材です。

私たちはすべての国を環境に優しい技術と製品へ導くことを目標としており、エコールは建築計画やインフラ整備などに対して純度をプロセス、素材、建築物全てをサポートすることが可能です。私たちは他にもプラスチック繊維の開発や住宅、環境教育など多くのことに取り組んでいます。バイオテクノロジーは新しい産業に相応しい言葉に思えますが、そこには限界があると思っていて、そのうち新しい言葉が造られるでしょう。

"もし農業廃棄物を燃やして環境汚染をするのではなく、集め届けてくれる農家に高い収入を提供することができたなら"

- ゴミをいかに処理するのかという人類にとって長年の課題に対して、エコールと類似したアイデアは以前から存在したのでしょうか。

ロバート : これはたった一人のアイデアではなく、何十年越しの数多くのアイデアの集積なのです。それは長い時間がかかりましたが、これらは何年もの間、ある遠いビジョンを持ちそれに真摯に貢献していく個人なくしては成り得なかったでしょう。

廃棄物のマネジメント、あるいは廃棄物のリサイクルにおいて大きな環境問題の原因のひとつとしてまず問題のある原材料や資源の利用があります。段ボール、古紙などは既存のマーケットがありますが、農業繊維に関してはまだ未発達です。それはテキスタイルでもなく、複合材料に使われるガラス繊維でも炭素繊維でもない、減少もしていない分野です。そこには多大な廃棄問題があると確信していて、それは中国、米国、現在の日本にもいえることだと思います。ポスト産業社会、ポスト消費社会の廃棄物をどう対処していくのか、それに対する解決策としてエコールがあります。

私の最初の環境に優しい素材に興味を持ったのは、UCバークレーで建築と環境デザインを学んでいたときです。建築と自然の関係性に魅了されました。例えば太陽と地球を利用して機械設備も化石燃料もなしに建物を暖めることも冷やすこともできるなんて、何というコンセプトでしょう。フランク・ロイド・ライトの精神は私にとても大きな影響を与え、彼は環境的な建築家で、自分の作品を”有機的建築”と呼び自然との調和を尊びました。さらに有言実行することを学びましたが、それにはたくさんのお金が必要だということも学びました。

私が天然素材について関わりはじめた80年代、90年代に遡ると、環境問題を巡り建築家が議論していたことは室内空気質と有害物質でしたが、後に気候変動や温室効果ガス、二酸化炭素についての議論がそれをかき消すように広がり、それらと同様に重要な課題である室内環境における有毒物質の存在についての議論は遠ざかっていきました。どちらの課題も対処されるべきであり、エコールはそれらに取り組んでいます。そのためには可能な限りの再生可能エネルギー資源と化石燃料の燃焼の減少、さらに私たちの環境における石油系化学物質の減少が必要となり、これら全てに包括的にアプローチすることがとても重要だと考えています。

- エコールの最終的な目標は何ですか?

ロバート:”エコールがどこにでもあること”です。事実として私たちは素材技術を扱っているので工場を持たなければなりません。工業国もエコールの工場を持つべきでしょうが、農村地域の低収入で仕事を見つけるのが大変な場所、そして農業廃棄物が多い地域に工場を持つことは大きな効果をもたらすでしょう。

もし農業廃棄物を燃やして環境汚染をするのではなく、集め届けてくれる農家に高い収入を提供することができたならと思うことがあります。もし農業繊維が資源として環境に優しい変換処理がなされ、収入を得ることができたなら。彼らの子供も工場での仕事が得ることができる。これはばかげた夢でしょうか?人体に悪影響の素材はただ小さな机だとしても、どんな規模でも、そうでない素材に代替されるべきです。

 

Interview & Text : Yusuke Nishimoto & Marika Nakada (EUGENE KANGAWA STUDIO)